News Archive : Japan Real Estate

Thursday, November 24, 2005

Mizuho's Ishizawa on J-REITs

みずほ証券チーフ不動産アナリスト石沢卓志氏――活況呈する不動産投信(トピックス)
2005/11/24, , 日経金融新聞, 4ページ, 有, 1017文字

 最近、不動産投資信託(REIT)による不動産取引が、東京都心部などで地価の高騰を引き起こしているとの見方が強まっている。しかし、筆者は、不動産投資の活発化は、むしろ不動産価格の安定につながると考えている。
 バブル経済期には、不動産関連のデータは、一般にはほとんど公表されていなかった。このため、オフィスビルを借りる企業は、ビル会社や仲介事業者が示す賃料相場をうのみにするしかなく、実態よりも高い賃料で賃貸借契約を締結するケースもあった。
 これに対して現在は、不動産投資の活発化によって、不動産関連のデータベースが整備されてきた。REITの決算では、個別ビルの賃貸事業収支が公表されるので、このデータを分析すれば、かなりの精度で賃料相場を推計することができる。
 東京・大手町エリアの場合、バブル経済期のピークである一九九二年には、坪当たり賃料が十万円を超えるビルが複数あった。一方、現在の大手町エリアの賃料水準は、REITの公表データから推計すると、三万円台半ばが一般的である。このように賃料相場が容易に把握できるようになると、現況よりも著しく高い賃料でビルを借りる企業はなくなると考えられる。
 今年九月末時で、大手町エリアのオフィス空室率は〇・三%に低下し、実質的に空室ゼロの状態となった。オフィス需要が強いのに、オフィス賃料が上昇しない状況は奇異に感じられるかもしれないが、バブル経済期の賃料水準が異常だったのであり、貸し手と借り手の情報格差が縮小した現在の方が、正常な状態と考えることができる。
 現在、不動産価格の評価方法は、オフィス賃料などをもとに、不動産事業の収益性から算出する収益還元法が主流となっている。最近の不動産評価額は、市況回復などを反映して上昇傾向が強まっているものの、オフィス賃料が安定すれば、急上昇する可能性は低下すると考えられる。
 オフィス賃料等のデータベースが充実すると、周辺相場よりも賃料水準が高いビルは、その理由をテナントに説明する義務が出てくる。この説明責任を果たす必要から、今後はテナントサービスの向上に力を入れるビル会社が増えると予想される。
 現在、REITとして上場を計画しているファンドには、住宅を運用対象とするものが増えているので、賃貸マンション市場のデータも整備が進むことになろう。
 このように、不動産投資の活発化は、不動産価格の安定とともに、執務環境や住環境の向上を促す原動力になる。