News Archive : Japan Real Estate

Friday, November 25, 2005

REITs Become Preferred Exit for Private Funds

2005年11月25日
膨張不動産マネー(下)投資の出口、間口広がる。
2005/11/25, 日経金融新聞

五勝五敗――不動産投資信託(REIT)の初値が公募価格を上回った場合を「勝ち」とすると、今年度上場はこんな成績になる。新規株式公開(IPO)銘柄同様に高い初値がついていたREITも、最近は銘柄選別が進んでいる。

ファンド系苦戦
 特に苦戦しているのが、不動産私募ファンド各社が設立母体のREITで、成績は一勝三敗。クリード、アセット・マネジャーズ、ダヴィンチ・アドバイザーズといったファンド大手系が「敗者」になって、業界に衝撃が走っている。

 「新興勢力の不動産ファンド系REITは質が落ちるとの見方が広がった」(準大手証券アナリスト)から。第一世代と言える三井不動産など大手不動産会社系REITに比べ知名度が劣るうえに、組み込まれた物件の築年数が古く、一棟あたりの価格も十億―四十億円と小粒だ。

 二〇〇〇年ごろより増え始めた不動産私募ファンドは不動産金融の主役。その資産残高は今年六月までの一年半で二・五倍の三兆三千億円(住信基礎研究所調べ)にまで膨れあがった。運用期間は三―五年が普通。昨年ごろから償還期限を迎え、物件の転売で投資回収を進めるファンドがぐっと増えてきた。

 投資回収の「出口」戦略として、これまで最も確実と見られてきたのが、自社が設立するREITへの転売だった。公募価格割れに見られる系列REITの変調は「私募ファンドが系列REITへ安易に物件を流して質を落としているとのイメージが広がった」(不動産ファンド幹部)のが一因であるだけに、ファンドは出口戦略の軌道修正を迫られている。「出口戦略を再構築できないと、ファンドへの資金流入に響く」(有力アナリスト)状況だ。

 だが、ファンド各社に危機感は希薄。新たな売却の受け皿として外資勢が台頭しているからだ。

 「日本で不動産投資をしたいので意見を聞きたい」。不動産ファンド大手ケネディクスの本間良輔社長を、欧米の投資銀行の幹部が相次いで訪問した。その多くが日本に拠点を設ける方針という。「高利を狙わず、運用利回りが三―四%で長期保有を考える外資が出始めた」(本間社長)。安値で大量に買い短期間で売却益を得るのが普通だった外資の変化で、ファンドにとって格好の「出口」が出現した。

 不動産ファンド大手シンプレクス・インベストメント・アドバイザーズは今年六月、豪州の投資銀行バブコック・アンド・ブラウンにビルを約三十億円で売却した。新宿駅西口のこのビルは入居していた家電量販店さくらやが移転したが、たちまちパチンコ店が後を埋め稼働率は落ちなかった。

 バブコックは四月に豪州で日本の不動産に限定して投資するREITを上場したばかりだが、資産規模を現在の四倍強の二千億円にまで引き上げる計画。景気回復で安定した稼働率が期待できる日本は「長期運用が可能なオフィスビルや商業施設が多い」(不動産投資部)との評価だ。

 出口戦略の再構築で外資についで注目されるのが、付加価値路線。アセット・マネジャーズは、オフィスビルの建つ複数の土地を買い上げ、物件開発を可能にする「地上げ型」ファンドを設立している。

 投資先は銀座、青山など東京、大阪の一等地。売却先は不動産開発会社などで「取得価格の五倍で売却できることもある」(青木巌社長)。

償還時期延期も
 物件の売却を急がず、償還時期を延期する動きも出始めた。投資家向け利回りが一八%にもなるファンドを持つクリードは出資者から「優良物件はREITに売らずに私募ファンドで運用し続けてほしい」と求められている。

 同社は運用期間、資産額を自由に変えられる百億円規模のファンドを設立する考え。賃料収入にうまみがある物件が多かったり、売却を遅らせた方がより売却益が見込める場合は、運用期間を延ばす方式。出口を先に延ばすという「出口戦略」とも言える。

 住信基礎研究所の井上淳二上席主任研究員は「不動産市場が急激に冷え込む可能性はないが、多様な出口戦略を用意する必要がある」と指摘する。不動産金融をけん引する不動産ファンドは、膨張を続けながらも、中身が変化し続けている。